鶏刺しを語る上で避けては通れないのが安全性の問題です。
一昔前は「南九州の人は昔から鶏刺しを食べているので、鶏刺しを食べても当たりにくい遺伝子があるのでは」とまことしやかに語られていましたが、じつはそんなこと有りません。
鹿児島県では独自の厳しい衛生基準を設け、それを遵守する食肉加工業者の血のにじむような努力により安全性が保たれているのです。

鹿児島の鶏刺し基準

鶏肉の生食による食中毒で一番多いのはカンピロバクターによるものです。
カンピロバクターは主に内臓内に生息しているので、内臓を安全の除去した後殺菌を行い、鶏刺し専用のまな板上でカットを行います。
この際、内蔵を傷つけてしまい汚染された肉は使用出来ません。
また、調理に用いた器具は83度以上の温水で洗浄するなど、細かな衛生管理が定められています。

生食用食鳥肉等の安全確保について

平成30年から令和3年まで、鹿児島県発表による食中毒者の中で鶏刺し由来によるものは有りません。

レバー・砂ずりの刺し身について

平成30年に衛生基準がより厳しくなり、居酒屋や鶏肉店の店頭からレバーや砂ずりの刺し身が大幅にへってしまいました 。
全国でカンピロバクターの食中毒が多発したことにより、全国的に鶏肉の生食に対する注意喚起が高まり、それを受けた鹿児島県が加工等基準目標からレバー・砂ずりを外してしまったとのこと。

ただ、こちらの記事を読むと「健康福祉局長:現在、県の生食用食鳥肉の衛生基準から筋胃や肝臓は除外されておりますが、法令による禁止はされていないところでございます」とのことで、販売自体は違法になっていないようです。
「生食用食鳥肉の衛生基準」の改訂が鳥刺しに及ぼす影響について(平成30年9月議会個人質疑より)

実際、いくつかの鶏肉販売店舗ではレバーや砂ずりなどの刺し身が販売されています。

ただ答弁にもある通り、やはり内臓系はコントロールが難しいということで県としては規制を強めていく予定ではあるようで、今後の動向が注目されるところです。