鹿児島県や宮崎県の一部、いわゆる南九州では鶏肉を生で食べる「鶏刺文化」があります。
表面をさっと炙った生の鶏肉をそぎ切りにし、にんにくや生姜といった薬味を添えて、南九州特有の甘い刺し身醤油で食べる鶏刺し(たたき)は芋焼酎との相性も良く、この地域の人々に広く愛されています。

広く食べられているのが脂が少なくヘルシーで柔らかいムネ肉と、脂があり、コリコリとした歯ごたえと旨味のあるもも肉。
以前は砂ずりやレバーと行った部位も好んで食べられていましたが、衛生管理基準が厳しくなったためにこちらの部位を食べることは難しくなりました。
しかし、多くの鶏肉加工業者・卸販売店の衛生管理努力により、今も鶏刺し文化は地域の人々にしっかりと受け継がれています。

若鶏・種鶏・親鶏

鳥刺しやさんに置いてある鶏の種類はいくつかありますが、大きく分けて若鶏・種鶏・親鶏があります。
若鶏は飼育期間が2~3ヶ月程度で出荷される鶏肉です。
若くて柔らかな肉質ですが脂が乗っていてジューシーな味わいです。

種鶏はブロイラーなどの卵を生むために育てられている鶏で、飼育期間が1年~1年半近くと若鶏に比べ長いのが特徴です。
飼育期間が長いため、程よくしっかりとした肉質になり、より鶏の味わいが深い旨味の強い鶏肉です。

親鳥は採卵目的で飼育されている鶏肉で、飼育期間は2年以上になるものもあります。(完全に卵を生み終わった鶏は廃鶏とも呼ばれます)
特にもも肉などはコリコリとしたしっかりした歯ごたえがあり、しっかりとした肉と脂の旨味を楽しむことが出来ます。

もともと鹿児島の鶏刺し文化は、採卵用に飼育していた鶏の一部や廃鶏を潰して鶏刺しにしていたことも多かったと考えられることから、昔ながらの鶏刺しは種鶏や親鶏がメインだったのではと推察されます。

地鶏・ブランド鶏

地鶏については県によって品種や飼育期間にいろいろな基準があるのですが、鹿児島JAが定めている「かごしま地鶏」のブランドは「さつま地鶏」「さつま若しゃも」「黒さつま鶏」の3種類です。
かごしま地鶏
また、鶏刺しやさんなどではブロイラーとは区別するためか赤鶏もよく見かけます。

これとは別に農場オリジナルのさつま極鶏大摩桜といった独自のブランド鶏もあります。